当院の性感染症診療方針
性感染症が考えられるケースでも、他の病気の可能性もあります。合併症リスクもあります。当院はいわゆる「性病科」ではありません。医師の判断により必要な検査・投薬等を行います。自己診断による希望のお薬を出せない場合もありますので、何卒ご理解ください。
クラミジア
原因
- 細菌(chlamydia trachomatis)
感染経路
- 性行為
- 産道感染(妊娠時)
症状
- 無症状の場合も多く、身体状況のみでの確定は困難
- 尿道分泌物、精巣周辺や尿道の違和感、痛み
- 帯下の増加、内診時の痛み、のどの痛み・違和感
検査
- 尿検査
- 子宮頚管からの採取
- 咽頭からの採取
治療
- 抗生物質
淋病
原因
- 細菌(neisseira gonorrhoeae)
感染経路
- 性行為
- 産道感染(妊娠時)
症状
- 尿道分泌物
- 排尿時痛
- 帯下
検査
- 尿検査
- 子宮頚管からの採取
- 咽頭からの採取
治療
- 抗生物質
梅毒(男性・女性)
原因
- スピロヘータ、細菌(treponema pallidum)
感染経路
- 性行為
- 胎盤感染(妊娠時)
症状
- 先天梅毒:梅毒疹、Hutchinson3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、歯の発育以上)
- 後天梅毒第1期:初期硬膜、硬性下疳、無痛性横痃
- 後天梅毒第2期:バラ疹、梅毒性丘疹、扁平コンジローム
- 後天梅毒第3期:結節性梅毒疹、ゴム腫
- 後天梅毒第4期:心血管梅毒、神経梅毒
検査
- 血液検査
- 皮膚(病巣)の検査
- 脳脊髄液の検査
治療
- 抗生物質
ヘルペス
原因
- 単純ヘルペスウィルス(1型、2型)
感染経路
- 性行為
- 再発
症状
- 水疱
- 潰瘍(陰茎、外陰部、鼠径リンパ節)
検査
- 血液検査
- 皮膚(病巣)の検査
治療
- 抗ウィルス薬
※帯状疱疹、口唇ヘルペスとの区別に注意が必要
尖圭コンジローム(男性・女性)
原因
- ヒトパピローマウィルス
感染経路
- 性行為
- 産道感染(妊娠時)
症状
- 乳頭状、鶏冠状の淡紅色、褐色調の腫瘍
検査
- 皮膚(病巣)の検査
治療
- 凍結療法
- 電気焼灼
- レーザー
- 外科的切除
- イミキモド
※ヒトパピローマウィルスは子宮頸がん・陰茎がんのリスク要因である
B型肝炎
原因
- B型肝炎ウィルス
感染経路
- 性行為
- 母子感染
- 血液を介するもの
症状
- 初期は無症状の場合が多い
検査
- 血液検査
治療
- 抗ウィルス薬
- インターフェロン等
※予防接種によるリスク低減が可能である
C型肝炎
原因
- C型肝炎ウィルス
感染経路
- 性行為
- 母子感染
- 血液を介するもの
症状
- 初期は無症状の場合が多い
検査
- 血液検査
治療
- 抗ウィルス薬
- インターフェロン等
後天性免疫不全症候群(AIDS)
原因
- ヒト免疫不全ウィルス(HIV)
感染経路
- 性行為
- 母子感染
- 血液を介するもの
症状
- 急性期に発熱、リンパ節腫大など、その後は無症状の場合が多い
検査
- 血液検査
治療
- 抗HIV薬
- 日和見感染症の対策